今回は初中級以上で使える読解活動「ジグソーリーディング」を紹介します。
読解の授業でも使えますし、話す活動としても使える活動です。アクティブラーニングの1つとしても取れますね。
ジグソーリーディングで説明能力を高める
ジグソーリーディングって聞いたことあるけど、いまいちやり方がわからない...という方もいらっしゃるかもしれません。
やり方はいくつかありますが、基本はグループごとに別々の物語を読みます。その後、グループを再編成し、各自読んだ物語を持ち寄って新しいグループで物語の内容をシェアするという活動です。
今回はグループではなく、ペアで行う方法を紹介します。グループよりもペアの方が責任感を持ってやってくれるという事例がみられましたので、それに基づいています。
準備物
読み物を2種類用意し、1人一枚それぞれに読みもののコピーを配布します。
読み物は、学習者のレベルに合ったものを選ぶのが鍵です。難しすぎたりやさしすぎたりすると、意味がありません。
読み物教材を探すのは大変ですが、初中級で使える教材は以下がおすすめです。
たのしい読みもの55
げんき
坂野 永理 (著), 池田 庸子 (著), 大野 裕 (著), 品川 恭子 (著), 渡嘉敷 恭子 (著)
MATCHA
こちらはウェブサイトです。初中級レベルでは普通の記事だと難しいことが懸念されるので「やさしい日本語」版をダウンロードして読んでもらうのがいいでしょう。中上級レベルであれば、普通版を読んでもらってもいいと思います。
実施方法
今回は、中級レベルの学生16人に学期の最初に「初中級レベルの復習」として行った活動を紹介します。
①物語を2種類用意し、クラス全体を2つにわける
今回使用した物語は、以下の2つです。
- グループA:『たのしい読み物55』p.70 「お見舞い」
- グループB:『初級日本語教科書 げんき2』p.286 「悩み相談」
学生に、それぞれどちらの物語を読みたいのか、選んでもらいます。各グループ同じ人数にすることが望ましいので、どちらかのグループが多くなってしまった場合には、「移ってくれますか?」などと言って調整します。
グループが決まったら、席を移動して各グループで集まります。グループAにはAの物語を、グループBにはBの物語を配布します。
②グループで読み進める
1人ずつ順番に声を出して読ませてもいいですし、各自辞書などを使って読み進めてもらってもいいですが、わからないところがあったらグループで確認し、読み進めるようにします。
ここでのゴールは、自分が選んだ物語の内容を相手に説明できる程度まで理解することです。
今回は全16人いたので、AとBは各8人ずつとなりました。各自でやる人が多かったのでそれほど苦にはなりませんでしたが、1グループの人数が多いと感じる場合には4つのグループに分けてもいいと思います。(その場合でも、読む教材の種類は2種類)
③読み終わったらAとBでペアを作る
だいたい各グループ読み終わった様子がみられたら、AグループとBグループからペアを作っていきます。
- 学生A1-学生B1
- 学生A2-学生B2
- 学生A3-学生B3....という形で各グループからAとBのペアになるように再編します。
ペアを作る方法ですが学習者で決めさせるよりは、レベル差などを考慮して先生が決めてしまった方がいいかもしれません。
④ペアで自分が読んだ物語の内容について説明する
どちらから始めてもかまいません。各ペアで順番を決めてもらい、読んだ内容を説明します。物語をもう一度読み上げるのではなく、要約しながら必要な情報を選択し、「どんなことが書いてあったのか」を相手に伝えていきます。
時に相手から「この単語はどういう意味ですか?」と聞かれることもあるでしょう。その時には、なんとか自分で説明しなければなりません。
⑤終わったペアは、内容についてさらに議論を重ねる
今回のトピックは「お見舞い」と「悩み相談」でした。ですので、この内容であればこんな風に話を膨らませます。
○○さんの国では、お見舞いに持って行ってはいけないものがありますか?
〇〇さんは、今なにか悩んでいることがありますか?
自然とこんな会話が出てくるようであれば素晴らしいですし、出てこない場合は先生の方から少し手引きをしてみてください。
関連情報
動画紹介
ジグソーリーディングをする場面でJamboardというツールを紹介している動画があります。これはJamboardの使い方に焦点が当てられたものですが、これを見るとジグソーリーディングの全体像も掴めると思います。
Jamboardを使ったその他の活動一覧は、こちらから読むことができます。
書籍情報
今回使用した書籍の中身を、少しだけ以下のサイトから見ることができます。購入しようかな〜と迷っている方は、ぜひ見てみてください。