日本語学習者で、語彙をたくさん知っている人がいるが、イマイチ使いどころが惜しい...。
もっと語彙を増やしたい!と学習者に言われたけど、どんな対策をすればいいの?
そんな時に使える教材の1つに『初級から学ぶ日本語コロケーション』という本があります。
自学で使っている人が多いようですが、オンラインプライベートレッスンとも相性がいいような気がします。
今回は、この書籍を使った授業例の1つを紹介します。
尚、書籍には「英語・中国語・ベトナム語」の訳語がついていますので、これらの言語がわかる学習者を想定しています。
上記の言語がわからない学習者を教えている..という場合でも、ぜひ最後まで参考としてお読みいただければと思います。
導入
学習者と教師の両方が本書を購入し持っていることを前提とします。
語彙がカテゴリーに分かれているので、最初の「衣服」というカテゴリーから順番に進めてもいいですし、学習者が苦手とする分野やN3~N5のレベルを選んで始めていくのもいいと思います。
今回はp.16の「1. 衣」を例に解説します。
事前に、左ページにあるグループ図の訳語のみが入っているものを用意しておきます。
それを使いながら、まずはどこまで知っているかを学習者から聞き出し、書き込みながら確認します。
知らなかった言葉は、本を見て確認します。
この時、学習者から質問が出れば、その答えも書き足していくといいでしょう。
(質問例)
S:着る、は体の上だけですね。シャツとか。脱ぐ、は全部に使えますか?
T:そうですね、アクセサリーやネクタイなどの小物以外には「脱ぐ」が使えます。
また、単語だけではなく実際の使い方も曖昧なものがあれば、学習者から引き出しながら少し紹介してあげるといいと思います。
S:着替える、どう使いますか。シャツに着替える?
T:例えば、シャツを汚した時、シャツを着替えます。
T:でも、夜寝る前は、パジャマに?
S:パジャマに着替えます。
例文を確認
今度は右側(p.19)にある例文のページを使って確認していきます。
付属の赤いシートを使うと、キーワードが隠れるようになっているので、それを使いながら導入で確認した言葉を入れて読みます。
一通り読み終わったら、音声を聞きながらマンブリング(つぶやき読み)やシャドーイングをします。
余裕があれば、次のページに行く前に練習問題を入れます。
練習問題
グループ図ごと
次のページ(p.20)のコロケーションを勉強する前に、様子を見て練習問題を入れます。
練習問題の例として、簡単に以下のものを挙げます。
穴埋め問題
例文で読んだものを応用して作った穴埋め問題です。(文のレベルは学習者に合わせてください)
- うちに帰ったら、まず________一息つく。
- 汗でびっしょりになったので、__________。
- その新しいセーター、とてもよく____________ね。
- シャツがシワにならないように、_______________。
- もらったシャツが________ので、兄にあげた。
- 太ったら、________________てしまった。
- 妻が買ってくれたシャツが________で、着るたびに注目される。
解答例)
- ジャケットを脱いで
- 服を着替えた
- 似合ってる
- ハンガーにかけた方がいいです。
- 大きかった
- ジーンズがきつくなって
- 派手
自分で文作成してみるものいいでしょう。
段落の穴埋め
今回のキーワードを使った段落文を用意しておき、それを穴埋めしてもらいます。
先日デパートに行った。というのも、最近ジーンズが①_______なって、お腹が入らなくなってきたから、新しいジーンズを買うためだ。それから、来週のパーティのためのネクタイも欲しかったからだ。お店で、店員さんが「このネクタイ、きっと②_______よ。」と持ってきてくれた。キラキラしていて、ちょっと派手すぎるかな?と思ったが、スーツが③_____なので、調度いいだろう。
<解答例>
- きつく
- 似合います
- 地味
物語作成
上記の段落穴埋めを参考に、今度は学習者に自分で物語を作ってきてもらう方法もあります。
全部のキーワードを使おうとしなくてもいいので、「自分が今回のレッスンで初めて知った言葉を必ず1つ入れる」などとルールを決めておいた方が作りやすい学習者さんもいるかもしれません。
ここまでで16ページの語彙を終了とし、次の18ページの単語に移動して、導入〜練習を繰り返します。
まとめの練習問題
これまでの導入〜練習問題を各語彙のグループ図で繰り返し行います。
そして1つのユニット(1. 衣)が終わったところで、本書の確認問題(p.26、p.27)を行います。
このページにある確認問題は出題形式がいろいろあり、しっかりと学んだことが試せる印象です。
まとめ
以上、『初級から学ぶ日本語コロケーション』を使った語彙の導入方法を紹介しました。
学習者のレベルや授業形態によっては、今回紹介した方法がそのまま使えない部分もあるかもしれません。
今回の記事を参考にしつつ、ぜひ目の前の学習者さんに合わせてアレンジしてみてください。