文法解説
基本理解
まず「人・もの・ことを判断をする」という大前提がある。
a.) 鈴木さんは、バイオリンもひけるし、走るのも速いし、頭もいい。
大前提として「鈴木さんはすごい人だ」という判断(評価)がある。それを補強する理由として「バイオリンがひける」「走るのが速い」「頭がいい」という例を重ねて挙げている。
その前提も組み込んで明示することも可能。
b.) 鈴木さんは、バイオリンもひけるし、走るのも速いし、すごい人だ。
このa.が「並列」として、b.が「理由の列挙」として解説されることが多い。
また、「〜し」を伴う原因節が結果の後ろにくることもある。
今日は学校には行かない。頭も痛いし、熱もあるし。
他の文型との違い
て形 vs 〜し〜し
「て形」は複数の事柄を単に述べるだけなのに対し、「〜し〜し」は「根拠の例として2つ3つ挙げるが、述べた事柄以外にもある」というニュアンスが含まれる。
- 鈴木さんは、バイオリンもひけるし、走るのも速いし、頭もいい。
- 鈴木さんは、バイオリンもひけて、走るのも早くて、頭もいい。
から/ので vs 〜し〜し
「〜し〜し」は二つ以上の理由を列挙することができる。「から/ので」は1つだけ。
- 今日は疲れたし、明日も授業だし、早く寝ます。
- 今日は疲れたから、早く寝ます。
- 今日は疲れたから、明日も授業だから、早く寝ます。
ただし、「〜し」で列挙し、「から」で因果関係を明確にすることは可能。
今日は疲れたし、明日も授業があるから、早く寝ます。
「〜し」を1つだけ用いて理由を表すこともできる。
今日は疲れたし、早く寝よう。
今日は疲れたから、早く寝よう。
この場合、「〜し」の文は「今日は疲れた」だけでなく他の理由もあるという意味が含まれ、ゆるやかな理由づけとなる。
よくある間違い
よく以下のような誤用例がある。
■誤用例1
私は今大学生だし、神奈川県からきました。
私は今大学生で、神奈川県から来ました。
「今大学生」であることは事実であり、大前提を補強するための理由ではないので、おかしい。「今大学生」が事実であっても、以下のように何かを判断する根拠になっていれば、使える。
今はまだ大学生だし、一人暮らしをしたこともないし、社会経験が乏しいのはわかる。
■誤用例2
あの店は、きたないし、おいしいし、行きたくない。
あの店は、きれいだし、おいしいし、また行きたい。
1つの前提に対する理由を列挙しているので、それらの内容は同じ方向性でなければならない。
きたない(ー)、おいしい(+)ではなく、きれい(+)、おいしい(+)となる。
〜し〜し(並列)
導入用スライド
練習
文作成練習
<解答例>
- さくらレストランは、おいしいし、きれいだし、安いです。
- もりのレストランは、古いし、まずいし、きたないです。
- このかばんは、色もきれいだし、軽いし、デザインもいいです。
- このアパートは、しずかだし、駅まで近いし、高くありません。
会話練習
- 日本の街は、どんな街ですか?
- あなたの国は、どうですか?
- あなたが好きなレストランはどうですか?
- 仕事・学校は?
- ~さんのおお母さん・ご兄弟は?
〜し〜し(理由の列挙)
導入スライド
練習
■確認(それで vs それに)
①
- A:どうして、このアパートにすんでいるんですか。
- B:ひろいし、きれいだし、( )やすいんです。
②
- A:このレストランは人が多いですね。
- B:はい、おいしいし、やすいんですよ。
- A:( )人気があるんですね。
答えー①それに ②それで