日本語クラスで敬語の練習アクティビティとして使えるワークシートを用意しました。実際に敬語が使われている場面を意識することで、より敬語の練習を身近に感じることができると思います。
【敬語】場面別ワークシート|ロールプレイにも
尊敬語・謙譲語・丁寧語の導入をし、その後の練習として使える活動です。
クラス活動での実施を想定していますが、一対一の個別レッスンでも導入できます。
尊敬語・謙譲語だけを勉強した時点で導入することも可能ですが、その場合はワークシートで使われている言葉を編集してお使いください。
準備物
実施方法
①アクティビティの導入
いきなりワークシートに書かせるのではなく、「どんな場面を想定すればいいのか」を導入してから入ります。
さて、みなさん敬語を勉強しましたね。今日は、生活の中のどんなところで敬語が使われているか、本当のシーンで確認していきましょう。
そう言いながら、シーンを4つほどイラストで提示します。
T:今回のシーンはコンビニ、ヘアサロン、ホテルの受付、デパートの受付の4つです。どうですか、こんな場面で敬語を聞いたことがありますか?
こうして学生からも少し敬語が使われている場面について話を引き出し、導入をします。
②ワークシートを埋める
T:今日は、この4つのシーンで、どんな敬語が使われているか確認してみましょう。
そう言いながらワークシートを配布し、まずは各自空欄を埋めてもらいます。ワークシートは場面別会話で、店員さんのセリフを敬語を使ったものに変える作業です。
ワークシートの会話は次のようになっています。(Y=お客さん、C=お店)学習者は下線部分を変えていきます。
①コンビニ
(レジで)
C: いらっしゃいませ。お箸、付けますか?
Y: いえ、大丈夫です。
C: わかりました。袋に入れますか?
Y: はい、お願いします。あのう、Rポイントが使えますか。
C: はい、使えますよ。ここに番号を入れてください。
C: レシートは必要ですか?
Y: あ、いえ、結構です。
C: ありがとうございました。
②ヘアサロン
(サロンに入ったところ)
C: いらっしゃいませ。予約の名前を聞いてもいいですか。
Y: 〇〇です。
C: 待っていました。このいすに座ってください。
もしよかったら、この雑誌を見て、待っていてください。
Y: あのう、トイレを使いたいんですが…。
C: はい、あそこにありますので、使ってください。
Y: わかりました。ありがとうございます。
③ホテルの受付
C: いらっしゃいませ。チェックインでいいですか?
Y: はい、一泊二日でお願いしている(名前)です。
C: (名前)ですね。待っていました。
すみませんが、このシートに名前を書いてください。
Y: (名前を書く)
C: 部屋のカードキーです。夕食は、一階の食堂で食べてください。Wi-fiのパスワードはここにあるので、見てください。
Y: はい、わかりました。
C: じゃぁ、部屋まで案内します。
④デパート
(受付で)
Y:あのう、すみません。食品売り場はどこにありますか。
C:4階にあります。
あそこにエレベーターがあるので、それを使ってください。
Y: わかりました。ありがとうございます。
(エレベーターの中で)
C: ドアがしまります。注意してください。このエレベーターは、上にいきます。お客さんは、何階に行きますか?
Y: 4階です。
C: わかりました。
③グループで話し合う
その後グループを作り、空欄にどんな言葉を入れたのか話し合います。
- 未習語彙も入っているかもしれませんが、日本で実際によく見聞きする敬語なので、支障がなければ入れてしまっていいと思います。
- また、②の部分を宿題にしておいて各自空欄を埋めてきてもらえば、このグループワークから開始できます。
③クラス全体で確認
どんな言葉を入れたか、表現は適切かどうかを一緒に確認していきます。参考までに、敬語に変えた会話も書いておきます。
①コンビニ
(レジで)
C: いらっしゃいませ。お箸、お付けしますか?
Y: いえ、大丈夫です。
C: かしこまりました。袋にお入れしますか?
Y: はい、お願いします。あのう、Rポイントが使えますか。
C: はい、お使いいただけます。こちらに番号をお入れください。
C: レシートはご入用ですか?
Y: あ、いえ、結構です。
C: ありがとうございました。
②ヘアサロン
(サロンに入ったところ)
C: いらっしゃいませ。ご予約のお名前を伺ってもよろしいでしょうか。
Y: 〇〇です。
C: お待ちしておりました。こちらのいすにおかけください。
よろしければ、こちらの雑誌をご覧になって、お待ちください。
Y: あのう、トイレを使いたいんですが…。
C: はい、そちらにございますので、お使いください。
Y: わかりました。ありがとうございます。
③ホテルの受付
C: いらっしゃいませ。チェックインでよろしいでしょうか?
Y: はい、一泊二日でお願いしている(名前)です。
C: (名前)様でございます。お待ちしておりました。
申し訳ございませんが、こちらのシートにお名前をお書きください。
Y: (名前を書く)
C: お部屋のカードキーでございます。ご夕食は、一階の食堂でお召し上がりください。Wi-fiのパスワードはこちらにございますので、ご覧ください。
Y: はい、わかりました。
C: それでは、お部屋までご案内します。
④デパートの受付
(受付で)
Y:あのう、すみません。食品売り場はどこにありますか。
C:4階にございます。
あちらにエレベーターがございますので、そちらをお使いください。
Y: わかりました。ありがとうございます。
(エレベーターの中で)
C: ドアがしまります。ご注意ください。このエレベーターは、上に参ります。お客様は、何階にいらっしゃいますか?
Y: 4階です。
C: かしこまりました。
④ロールプレイ練習
クラス全体での確認が終わったらまたグループに戻り、正しい表現と会話の流れを覚えてもらい、ロールプレイ練習へと移ります。
この時、それぞれのグループに1つの場面を選んでもらい、各グループが異なる場面のロールプレイをできるようにすると偏りが少なくなり、いいと思います。
⑤ロールプレイ発表
一定時間が経ったら、各グループごとに前に出てきて発表してもらいます。
最初の場面を選んだグループから前に出てきて、練習したロールプレイを披露してもらいます。
クラスメイトの前で披露するのではなく、AグループとBグループがお互いのパフォーマンスを見せあい、次にAグループとCグループで見せ合う、などとすれば何回も練習する機会を与えることができます。
こちらもチェック
この活動をオンラインで行う場合は
Googleスライドに問題文を入れた背景を用意し、テキストボックスを使った穴埋め問題を作ることができます。
こちらの動画で詳細を解説していますのでご覧ください。
場面を増やしたい場合は
場面にもう少しバリエーションがほしい!という方は、以下の書籍も参考になると思います。
【書籍紹介】にほんご音声トレーニング
- 携帯電話の申し込み
- ホテルの利用案内
- 旅行会社からの留守番電話
など敬語が使われている場面の音声とスクリプトが収録されているので、会話例を参考にして新しい場面設定をしてみるのもいいと思います。
今回紹介したワークシートにはすでに場面が用意されていますが、これらの場面を学習者自分たちでリストしてもらう、以下の活動もおすすめです。
その他の敬語の練習で使えるアクティビティはこちらから。