めしあがれ(上級日本語)

【教案】『めしあがれ-食文化で学ぶ上級日本語-』第5章

このページでは、中級〜上級の日本語学習者向けに使える教材『めしあがれ-食文化で学ぶ上級日本語-』の使い方や活用アイディアを紹介しています。

尚、公開しているアイディアはMikke!独自のもので、くろしお出版さん公式のものではありません。

本教案は段落ごとに導入手順を示してあります。授業時間数に応じて、1時間に1〜2段落を導入したり、学習者さんが知っている文型は飛ばすなどして調整をしてください。

くろしお出版
2021/5/21
畑佐一味 (著), 福留奈美 (著)

このページでは第5章の教案や練習アイディアを紹介しています。

「まずはこの教科書についてよく知りたい」という方は、こちらから各章の構成や内容をまずご覧ください。

ウォームアップ

T:「第5章のタイトルはなんですか。」

S:「洋食のはじまり」

T:「洋食、そうですね。洋食ってどんな食べ物ですか。」

S:「アメリカやヨーロッパから来た食べ物でしょうか。」

T:「例えば、どんなものがありますか。」

S:「ピザとか、パスタとか。」

T:「なるほど。でも、日本の洋食レストランに行くと、もっと別のメニューがあるんですよ。」

S:「え〜そうなんですか。」

T:「はい、どんなものがあるのか、読んでみましょう。」

第1〜3段落

単語の確認

事前に言葉の意味をチェックしてくる宿題を出しておきます。

意味は媒介語を書かせることを想定していますので、学習者の母語やレベルに応じて編集して使ってください。

『めしあがれ』第5章(第1〜3段落)の宿題プリントをダウンロードする(準備中)

本文を読む

まずはクラス全体で本文を順番に一文ずつ読みます。

その後ペアになり、もう一度第一段落を読みます。

次に絵を見せながら、宿題で出てきた言葉をいくつかスライド(下記参照)で確認します。

■西洋文化が急速に入り込んできた

洋館、ガス塔、人力車、洋服、牛鍋など。

■明治時代に牛鍋を食べていた様子を見てみよう

出典:https://mag.japaaan.com/archives/156782

■日本人の食の好みに合わせてアレンジされた洋食は、他にどんなものがありますか。

メニューを見ながら、それぞれの名前を学習者に言ってもらったり、教師側から紹介して名前の由来を考えてもらうことができます。

明治時代の様子を漫画で読んでみたら、と学習者におすすめすることもできます。

2016/10/28 吉田 健二 (著), 鍋田 吉郎 (著), 和月 伸宏 (著), 鈴木 淳 (監修)

文型(例文・練習)

V始める(1段落目)

日本語を勉強する→日本語を勉強し始めたのは、大学1年生の時だ。

  1. スマホを使う
  2. 日本に興味を持つ
  3. 嫌いなもの(例: )を食べる

回答例

  1. スマホを使い始めたのは中学1年生の時だ。
  2. 日本に興味を持ち始めたのは、大学1年生の時だ。
  3. セロリを食べ始めたのは、最近だ。

いくら〜ても(2段落目)

  1. 風邪をひいて、_______ても、おいしくない。
  2. 今はスマホがあるから、_________ても、連絡が取れる。
  3. 宿題が_______ても、自分でがんばらなければいけません。
  4. 漢字を__________ても、すぐに忘れてしまう。
  5. この映画は_________ても、いい。

<解答例>

  1. 何を食べても
  2. どこにいても
  3. どんなに難しくても
  4. 漢字を何回書いても
  5. 何度見ても

第4〜6段落 (とんかつ)

単語の確認

事前に言葉の意味をチェックしてくる宿題を出しておきます。

意味は媒介語を書かせることを想定していますので、学習者の母語やレベルに応じて編集して使ってください。

『めしあがれ』第5章(第4〜6段落)の宿題プリントをダウンロードする(準備中)

本文を読む

まずはクラス全体で本文を順番に一文ずつ読みます。

その後ペアになり、もう一度第一段落を読みます。

次に絵を見せながら、宿題で出てきた言葉をいくつかスライド(下記参照)で確認します。

■ロース肉、ヒレ肉って?他にはどんな名前があるの?

■ポークカツレツととんかつの違いはなんですか。

ポークカツレツとんかつ
薄い肉厚く切った肉
少量の油たっぷりの油
ナイフとフォークで食べる箸で食べる

■キャベツの千切り、味噌汁、漬物、飯、どれがどれだかわかりますか。

画像を指差しながら、「ご飯」「とんかつ」「漬物」「味噌汁」「ソース」を言っていきます。

おまけで唐揚げが少しのっていますが、「これはとんかつではないですね」と確認します。

時間に余裕があれば、「とんかつソース」とインターネットで調べて実物の写真を探してみるのもいいでしょう。

文型(例文・練習)

こうして(第6段落目)

例文を読んで確認。(そうして、ああして、の問題を入れても良い)

  1. 電車を乗り継ぎ、何キロも歩き続けた。こうして私はやっと家に着いた。
  2. 上司とも対話を重ね、友人にもたくさん相談をした。こうして私はフリーランスになったのだ。
  3. 戦いは終わり、新しい王が決まった。こうして世界は平和なものへと戻っていった。

また(第6段落目)

「また」「例えば」「つまり」がどこに入るのが適切なのかを考えさせる。

「日本ではどんどん緑茶が飲まれるようになっていった。( ① )、飲むだけではなく生活用品にも使われるようになった。( ② )、緑茶石鹸や緑茶のトイレットペーパーなどがある。( ③ )、緑茶は日本人の間に一般的なものとして考えられているのだ。」

<回答例>

  1. また
  2. 例えば
  3. つまり

アウトプットしてみよう

  • 日本で食べたことがある洋食がありますか。
  • 自分の国の食べ物と、似ている洋食がありますか。

第7〜9段落(カレーライス)

単語の確認

事前に言葉の意味をチェックしてくる宿題を出しておきます。

意味は媒介語を書かせることを想定していますので、学習者の母語やレベルに応じて編集して使ってください。

『めしあがれ』第5章(第7〜9段落)の宿題プリントをダウンロードする(準備中)

本文を読む

まずはクラス全体で本文を順番に一文ずつ読みます。

その後ペアになり、もう一度この段落を読みます。

次に絵を見せながら、宿題で出てきた言葉をいくつかスライド(下記参照)で確認します。

■香辛料って、どんなものがある?

リストの中から学習者になじみのありそうなものをいくつか選び、カタカナを読んでもらう。

カレーに使われるスパイスの種類

■日本のカレーの種類を見てみよう

カレーランキング

中には日本カレーではないものもあるので、それも指摘しながら見ていくとおもしろいのではないでしょうか。

文型(例文・練習)

〜によると(7段落目)

  1. ニュースによると、_________。
  2. 田中さんによると、________。

データセットを見て、そこからわかることを示す練習をしてもよい。

<回答例>

  1. 来週から台風が来るそうです。
  2. 山田さんは新しい仕事に就いたそうです。

〜すらない(8段落目)

  1. バイクはおろか____にすら乗ったことがない。
  2. クモはおろか、_________すら触れない。
  3. 私は小さい町に住んでいるので、_____はおろか、_____すらない。

<回答例>

  1. バイクはおろか、自転車にすら
  2. バッタすらさわれない
  3. スーパーはおろかコンビニすらない

〜ごとに(9段落目)

  1. それぞれの部屋に加湿器が置いてある→______ごとに加湿器がおいてある。
  2. それぞれの学校に、スクールカラーがある。
  3. それぞれの植物で、水やりの量を変える必要がある。

<回答例>

  1. 部屋ごとに加湿器が置いてある。
  2. 学校ごとにスクールカラーがある。
  3. 植物ごとに水やりの量を変える必要がある。

第10〜12段落

単語の確認

事前に言葉の意味をチェックしてくる宿題を出しておきます。

意味は媒介語を書かせることを想定していますので、学習者の母語やレベルに応じて編集して使ってください。

『めしあがれ』第5章(第10〜12段落)の宿題プリントをダウンロードする(準備中)

本文を読む

まずはクラス全体で本文を順番に一文ずつ読みます。

その後ペアになり、もう一度第一段落を読みます。

次に絵を見せながら、宿題で出てきた言葉をいくつかスライド(下記参照)で確認します。

■カレーの変遷を図式化してみましょう

■カレーをもとにした料理には、どんなものがあるでしょうか。

カレーうどん、カレーパン、カレー南蛮(そば)、カレーラーメン、カレー味のスナック

文型(例文・練習)

〜ていきました

あるカテゴリーで先駆者と言える人がいますか。その人の功績について、説明してみましょう。

<回答例>

例)スティーブ・ジョブズ

彼の貢献により、スマートフォンが一般人に浸透していきました。

例)石川遼

石川遼を筆頭に、若手日本人ゴルフプレーヤーがどんどん増えていきました。

内容理解を深める

レトルト食品が一般家庭に急速に浸透していった理由には、日本のCMも影響していると言えるでしょう。

  • どんなCMだったのでしょうか。
  • 現在のCMはどうでしょうか、見てみましょう。

アウトプットしてみよう

  • 時間を経て形が変わっていった食べ物がありますか。
  • どんなふうに変わっていったのか、変遷を説明してみましょう。

まとめ

もう一度本文を読む

本文を段落に分けずに、もう一度最初から最後まで通しで読み返します。

読み返す時には

  • つぶやき読みをする
  • 黙読をする

などの方法で行うことができます。

内容確認

  1. 日本で牛肉が食べ始められるきっかけは何でしたか。
  2. 「洋食」の意味は何でしょうか。
  3. 「とんかつ」はよくどんなものと一緒に食べられますか。
  4. 「カレー」という言葉の発祥地はインドですか。

<回答例>

  1. 文明開花により西洋文化が急速に日本に入ってきました、その際政府が「肉を食べる」ことを奨励したことがきっかけです。
  2. 「日本化した西洋料理」の意味です。
  3. 味噌汁、漬物、茶碗飯と一緒に食べられます。
  4. いいえ、イギリス植民地時代にイギリス人が聞いた「カリ」か「ターカリ」が発祥だと言われています。

自由会話

  • 自分ならどのカレーが食べたいですか。他に、どんなアレンジ料理を試してみたいですか。

『めしあがれ』の本冊にも「内容質問」「発展問題」として質問が色々準備されていますので、そちらも参考にしてみてください。

レシピを見る・読む

第5章のレシピは「とんかつ」です。

それから公式サイトにある動画を見たり、本書のレシピを読んで和食の作り方を学ぶことができます。

動画の使い方としては、

  • ナレーションをアフレコさせる
  • 大体の手順を後で日本語で説明できるようにメモをとらせる
  • 途中の工程で独特なものがあれば、何のためにするのかを考えさせる

などがあります。

第5章だと、先生の方から次のような質問を促して考えてもらうこともできそうです。

  • 「最初に切り込みを入れていますね。なぜでしょうか。」
  • 「小麦粉→卵→パン粉の順でつける理由がわかりますか。」
  • 「千切り、くし切り、といった名前を知っていますか。」

さらには2度揚げしていることに気づく学習者もいるかもしれません。その理由も考えてみましょう。

『めしあがれ』のその他の章もご覧になりたい方は、下記リンクからどうぞ。