このページでは、『にほんごで働く ビジネス日本語30時間』を使って日本語を教える際の教案を公開しています。
なお、公開している教案は本書公式のものではなく、Mikke!独自のものとなります。
『にほんごで働く ビジネス日本語30時間』の中身を少し見てみたい!という方は、書籍紹介ページへ行ってみて下さい。本書の詳細を見ることができます。
ウォームアップ
学習者に「日本語の電話対応・伝言」について会話をしながら引き出していく。
- 日本語で電話を受けたことがありますか。かけたことがありますか。
- どんな場面でしたか。
- 友達とは電話をするかもしれませんね。ビジネス場面ではどうですか。目上の人は?
クイズ
■会社名と苗字の聞き取り
①まずは例を学習者に読んでもらい、聞き取る内容を確認する。
S:(例を読む)
T:さくら貿易、これは何の名前ですか。
S:ビジネスの名前?
T:はい、「会社名」と言います。「山崎」これは?
S:人の名前です。
T:そうですね。相手の苗字です。まずは会社名そして相手の苗字を聞き取ってみましょう。
②音源をかけて、クイズ(1)〜(3)を行う。
③答えは表記と一緒に確認する
口頭で聞き取れたことを確認するだけではなく、人名の漢字や会社名の表記(〜商事、カタカナの会社名)なども意外と難しいので、書いて確認するようにしましょう。
- 板書して表記を確認。
- オンラインレッスンの場合は、チャットボックスに書いてもらって確認するなど
④補足情報
「商事」以外の会社名をいくつか紹介する。実在する会社名のウェブサイトを見せながら、漢字を読んでもらうのもいいのではないでしょうか。
中央銀行、東洋物産、総合研究所、日本証券、日本観光局、佐々木工業など
■電話番号の聞き取り
①電話番号の基本情報
- ハイフンは「の」と読むが、何も言わず番号の羅列のみの人もいる。
- 最後に「です」をつけるのを忘れないように。
②音源をかけて聞き取り(4)〜(6)
中には10桁、11桁と桁数に違いのある電話番号も出てくるので、注意。
③読み上げてもらい確認
これは練習も兼ねて、口頭で読み上げながら確認していく。
④補足情報
- 日本のトールフリー(無料通話)は0120であること。
- 携帯電話はたいてい090や080で始まっていることなど。
表現
- 表現を1つずつ確認し、それぞれの例文を音読。
- 学習者のシチュエーションに当てはめて(適宜言葉を変更して)練習。
- 少し練習が必要だと思われるものは、以下のようなスライドを用いて練習。
「誰がいつ、誰に対して言うものなのか」が取りづらい表現があります。話し手と聞き手の方向性を意識しながら意味を確認してみてください。
〜さん/様(は)おいでになりますか
表現を読むだけではなく、実際にありそうな苗字を入れて、何度か練習。
<練習例>
T:佐藤さん
S:佐藤様はおいてになりますか。
T:早川さん
S:早川様はいらっしゃいますか。
〜とお伝えください
練習
学習者はスライドの中のキャラクターであり、相手に伝言をお願いする場面であることを最初に確認する。
<解答例>
- 納期の件について、確認したいとお伝えください。
- 明後日のプレゼンの内容に変更を加えてほしいとお伝えください。
- 来週予定していた会議の時間を調整したいとお伝えください。
- 見積書をもう一度送ってほしいとお伝えください。
学習者のレベルによっては「納期」「加える」「調整」「見積書」など難しいと感じる語彙があるかもしれません。読み方や意味を確認し、理解した上で練習してください。
表現:伝言を頼まないときの対応を伝える
学習者がこれらのフレーズを知らない場合は、ダイアローグを使って使い方を確認する。
鈴木:BBカンパニーの鈴木と申します。
山田:いつもお世話になっております。
鈴木:佐藤課長、いらっしゃいますか。
山田:申し訳ございません。現在、佐藤は会議中でして...何か伝言がございましたら、お伝えいたしますが。
鈴木:いえ、後ほどかけ直しますので、電話があったことをお伝えください。
山田:承知しました。BBカンパニーの鈴木様ですね。それでは失礼いたします。
■後ほどかけ直します
Q:「後ほど」の意味は何ですか。
A:「後で」の意味。
Q:後で誰が誰に電話しますか。
A:後でもう一度鈴木さんが佐藤さんに電話をかけます。
■電話があったことをお伝えください。
Q:誰が誰に何を伝えますか。
A:山田さんが佐藤課長に、「BBカンパニーの鈴木さんから電話がありました」と言う。
表現:電話を切る
表現だけでなく、以下を確認。
- 「失礼致します」はお互いに言う。
- その後、かけてきた相手が電話を切るのを待ってから、受けた側も切る。
表現:電話を受ける
「〜ておりますが」
- 一時的にその場にいない場合は「席をはずしております」
- 1日休んでいる場合は「本日休みを取っております。」
「〜中」
練習2のところでも出てくるので、ここではさっと取り扱う程度で大丈夫です。
- 会議に参加している人→
- 出張で現在いない人→
- お客さんと話している人→
- 会議中
- 出張中
- 来客中
練習
ことば(練習1〜練習3)
発音やアクセントに気をつけながら音読する。
- 打ち合わせ・・・会議
- 入荷する・・・意味を知らない学習者もいるので、確認。メーカーなどから注文していた荷物が届き、入ってくること。
練習1〜練習3
教科書の問題を穴埋めしていく。
穴埋めだけで終わらず、その後会話形式でスムーズに言えるまで読み合わせること。
p.49 3の例では、相手の名前が聞き取れなかった時に、聞き直す表現が挙げられていますが、ここで伝える側の言い方も一緒に練習してしまいましょう。
■名前のわかりやすい伝え方
- 「高田」なのに「竹田」と言われた場合
- 「村松」のはずが「松村」と言われた場合
- 「かねだ」なのに「かねた」と言われた場合
- 漢字で「太田」なのに「大田」で大丈夫かと聞かれた場合
<解答例>
- 「竹」ではなく、「背が高い」の「高田」になります。
- 「村松」ではなく「松」が先に来ます。「松村」です。
- 「かねた」は、点々がつかず、「かねた」になります。
- 「大きい」方ではなく「太い」の「太田」になります。
単語小テストで確認
それぞれの単語の定義が書いてあるので、該当する単語を書く問題です。
この課は練習と会話の単語の量が少ないので、1つの小テストにまとめてあります。
「練習を導入した後」または「会話を練習する前」などタイミングを見て導入してください。
ビジネス日本語30時間 第3課 練習・会話の小テストPDF無料ダウンロード
談話
ことば(p.21)
- 談話1〜4の単語をアクセントに気をつけながら音読。
- 意味のわからないものは確認。
- 意味の取りにくいものは例文で紹介。
- 席を外す・・・今その場にいない。「休憩中」など言いにくいことの場合に使える。
- 電話がある・・・「あなたがいない間に、相手から電話が来ていましたよ」という意味。物理的な「電話が置いてある」意味ではないことに注意。
- 折り返し・・・「折り返しご連絡いたします。」こちらから後で連絡するという意味。
- 社名・・・会社の名前。
談話練習(p.40)
- モデル音声を聴く。
- ペアやT-Sで代入練習。
- 自分のシチュエーションに当たる言葉でも代入練習をして新規に会話。
会話のキーワードを見るのみで、あとは覚えて会話練習。相手の目を見ながら会話ができるようになるまで繰り返し練習すること。
代入練習は、代入するだけだとさらっと終わってしまいがち。自分の頭で考えて口に出せるようになるまで何度も繰り返し練習することがポイントです。
単語小テストで確認
漢字・単語小テストで確認する。
下線部の漢字は読み方を答え、穴埋めには単語を入れます。
ビジネス日本語30時間_第3課_談話の小テストPDFの無料ダウンロード
会話
ことば(p.39)
会話1〜2のことばを音読して確認する。
- 伝言をうける・・・「伝言をもらった。」の意。後で担当者に伝える必要がある。
- 少々・・・「少し」の丁寧な言い方
会話(p.42-43)
- モデル音声を聴く
- ペアで読んで練習
- イラストをだけを見て同様の会話ができるようになるまで練習
単語・小テストで確認
この課は練習と会話の単語の量が少ないので、1つの小テストにまとめてあります。
「練習を導入した後」または「会話を練習する前」などタイミングを見て導入してください。
ビジネス日本語30時間 第3課 練習・会話の小テストPDF無料ダウンロード
ロールプレイ
シチュエーションを読み、ペアで会話内容を作成しロールプレイ。教科書を見なくてもスムーズに会話ができるまで練習します。
- 開始前に役割を決め、AさんBさんではなく、実際に使われそうな名前を決めておきます。
伝言メモをオンラインで用意しておき、実際にロールプレイで伝言を受けた場合は書き込んでもらうのもよい確認になると思います。
上記のメモはACイラストからダウンロードしました。その他「伝言メモ」で検索するとたくさんのデザインが出てきます!
ACイラストは、月額約1000円で制限なくダウンロードし放題できてオススメです。
ビジネスコラム
最後にビジネスコラムを読んで、レベルに応じた確認をします。
初級レベル
初級レベルでこの本を使用している場合は、内容理解の質問を入れるといいかもしれません。
- 他の会社の人と電話で話す時、まずなんと言いますか。
- 初めて話す人にも「いつもお世話になっております」と言いますか。
- それはどうしてですか。(②参照)
- 「お世話になります」と言われたら、なんと返しますか。
<解答例>
- 「いつもお世話になっております」と言います。
- はい、言います。
- 自分はその会社を知らなくても、社内の誰かがその会社の人にお世話になっているかもしれないから。
- 「こちらこそ、いつもお世話になっております」と返します。
中級以上
このビジネスマナーについて、意見交換。
- 自分の国では、電話で使う特別なフレーズがありますか。
- 電話でのマナーは、日本と自分の国で違う部分がありますか。どんなところですか。
ビジネスマナーが厳しい印象のある日本ですが、意外と日本ではOKなことが他国ではダメというパターンもあるかもしれませんね。
他の課の教案もご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。